多頭飼育で思うこと(長文💦)
「多頭飼育」
この言葉を聞かない日はないくらい、連日耳にする言葉なので、今回このことについて考えてみたいと思います。
当院でもこの連休にかけて、多頭のお家から来た猫の手術や相談が続きました。
うちで多頭の手術をする場合、大きく分けて3つのケースになります。
1、団体さんや個人ボラさんを介して手術するケース
2、行政の担当者からの相談や、行政がどうぶつ基金の「多頭飼育救済枠」のチケットを取得し、
手術するケース
3、テレビや新聞で「多頭飼育崩壊」のニュースを見て、自分もそうなるのではと恐れ、
飼育者自身が連れてくるケース
3の理由で連れて来られる方は、ご近所や町内会などの目を気にしてきたからか、
始めは申し訳なさそうな表情で連れてくる方が少なくありません。
しかし何度か病院に連れてくるうちに、解決の糸口が見えると表情が明るくなり、
最後の1匹まで手術するんだというやる気さえ見え始めます⤴
その希望の光のようなものがその人たちに見えると、やっててよかったなという
気持ちになります✨
しかし、飼い主が高齢だったり、貧困や心の問題、認知症などを抱えている場合は、
自力での解決は困難です。
運良くボランティアや行政の目にとまり、救いの手が差し伸べられ、解決に向かう
ケースもあります。
しかし、閉め切った室内で子猫がどんどん生まれる状況を誰にも相談できず、
部屋が糞尿まみれになりながら心身も病んできて、
どうしようもならなくなっている人の方がずっと多いのではないでしょうか。
「多頭飼育」は誰かが手を差し伸べないと、絶望という闇に葬られたままです。
私たちに、いったい何ができるのか。
それは多くの人たちに、不妊手術の大切さを地道に普及していくしかないように思います。
最初にお家に入れたほんの2、3匹を手術していれば、誰も不幸にならなったはずです。
不妊手術に対するハードルを下げ、外にいる猫にも家の猫にも、誰もが安心して気軽に
不妊手術ができる。
そういう環境を作っていくしかありません。
年二回、定期的に行っている利尻出張手術では、10匹以上の猫を世話している
飼い主も餌やりさんも、毎回猫を手術に連れてきます。
全部の猫の手術が終わっても、取りこぼしや増えた猫がいたら継続して
手術するようになってきています。
獣医療が届きにくい地域でも、定期的に行くことで継続して安心して手術ができる。
これ以上猫も人も不幸にならないよう、地域に根差して地道に活動していきたいです✨